奈良に住まいを移して約半年。「そろそろ奈良公園の紅葉が色づくころかしら。昨年までは偕楽園の紅葉を楽しみにしていたけれど、今年は鹿せんべい片手に紅葉狩りだな」なんて考えていた昨年10月、呼吸器内科入院中のKさんと出会いました。(水戸の偕楽園は梅で有名ですが、紅葉の季節も素敵なんです)
携帯酸素と行動をともにするKさんは、会話が苦しい病状の時でも弱音を吐かずいつも礼儀正しく穏やかです。病気とともに今を生きる。そんな強さと器の大きさは何からできているのだろうと思っていたところ、ご趣味の絵画を見せて頂く機会を得ました。新緑、薄桃色の桜、朱色の紅葉。背景によって表情を変える二月堂を見て、とても感激しました。と同時に、携帯酸素をお供に連れて筆を握るKさんは、今自分にできることを精一杯楽しむ生き方上手、それがKさんの強みなのだと思いました。是非、入院中の患者さまやご家族、そして医療スタッフの癒しのために絵を展示させてもらえないかとの申し出に快諾してくださいました。
平成29年1月6日、職員と数名の患者・家族が列席する中、ささやかなオープニングセレモニーで絵画展は幕を開けました。
そこで初めて、Kさんが絵画を始めたきっかけを伺いました。
「28年前に済生会奈良病院が移転した際その跡地にできた生涯学習センターに絵画教室ができたことである」
と不思議なご縁をお話くださいました。見にきてくれた職員たちに制作過程のエピソードを披露してくださったあとKさんの口から出た言葉が印象的でした。
「今まで絵を描いてきて、こんなによかったと思ったのははじめてです」
私たち医療者は、命を守り、生きる力を支えることが使命です。Kさんの絵が見る人に感動を与え、見に来た人の感動がまたKさんの生きる力になればこんなに嬉しいことはありません。新しい年を飾る催しで素敵な一年のスタートを切ることができました。関わってくださった皆様に感謝いたします。
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